「きげん(機嫌)」とは
1.「愉快か不快かという気分」
2.「いい気持ち」
3.「人の安否」
4.「時機(なにかを行うのに適した機会(時機到来)」 などの意味があります(出典:岩波国語辞典 第三版)。 また、「ごきげんよう」というあいさつには、
5.「人に会ったとき、別れるときの、健康を祝し、祈るあいさつの言葉」(出典:同上) ともあります。
医療施設として、医業をもって多くの方々をより健康な状態へと導くために、よりよい医療・施術をもって患者の皆様への対応を行うことはもちろんでありますが、私どもは、当クリニックにいらっしゃる患者の皆様には、初めての方だけでなく再来の方にも、扉を開けて来院される、まさにそのときから「よい気分、いい気持」としての「ごきげん」になっていただきたいという強い思いがあります(上記1、2)。
また、診察の待ち時間などの医療行為以外の時間、さらにはクリニック以外の場所においても、それぞれの患者様との忌憚のないコミュニケーションにより、患者の皆様の健康状態を把握することも非常に重要であると考えております。
私どもは上質な医療空間をもって患者の皆様へ医療・施術を提供させて頂くために、地域に根ざし、地域の皆様との密なコミュニケーションを保つことも重要視しております。そのためには、患者の皆様の「気分や健康状態を問う」意味(上記1、3)での「ごきげんいかがですか?」、また診察後にも「健康を祝し、祈る」意味(上記5)を、「ごきげんよう」という言葉の語幹である「ごきげん」に込めたいと考えております。
あいさつは社会的コミュニケーションの始まりであると言われますが、これらあいさつが、WHO憲章の前文の「健康」の項にもあるとおり「身体的・精神的・社会的に良好な状態」へとつながり、よりよい地域医療への貢献が可能になると信じているところでもあります。
また医療行為は、「適切な処置」を「適切な時」に行う必要があり、患者の皆様との不断のコミュニケーションによって得られた情報を元に、「最適な時期(=時機)」(上記4)をもって医療行為にあたることを、私ども自身に銘じる意味も込めております。
これらより、多くの皆様に「心地よい気持になっていただきたい」「コミュニケーションを図り健康を祝し祈念したい」という、患者の皆様と医師との円滑な双方向コミュニケーションに加えて、「最適な医療を最適な時に行う」という、地域医療に根ざした時空間的・社会的コミュニケーションを深める目的への思いを込めた名称として「ごきげん」の文言を使用しております。
最後に個人的なことではありますが、すでに他界いたしました父が「ごきげんいかがかな?」「ごきげんさん」というあいさつをしておりましたことが心に残っております。この「ごきげん」の言葉は、父との日々を思い出すことで、医業を志した若き日をも想い起こさせてくれる言葉でもあります。父との思い出が多く残るこの地で、初心を忘れず、遠くから見守ってくれているであろう亡き父とともに歩みつつ、地域医療に貢献し続けたい、との思いも「ごきげん」の名称には込められております。